2012年 03月 16日
鼻の役割 |
呼吸をしたり、臭いをかぐ時に何気なく使っている鼻ですが、ひとたび風邪をひくと鼻が詰まったり、花粉症などにかかると途端に悩まされます。普段あまり目立たないようでも呼吸や嗅覚、発声の共鳴部位としての役割も持つ重要な器官である鼻ですが、今回はその鼻の役割、特性について述べてゆこうと思います。
鼻の仕組み・役割
■役割
鼻が呼吸や臭いをかぎ分けるための器官であることは言うまでもありませんが、その他にも空気のろ過装置・加湿器としての役割も担っています。鼻毛や鼻腔の粘膜により空気中のゴミや細菌をとり、鼻腔を流れる血液により加温・加湿します。鼻腔の上部に嗅覚があり、そこから脳へ伝達され、臭いとして認識されます。また、鼻腔と副鼻腔は声を共鳴させる役割もあるため、鼻腔粘膜が腫れると共鳴の度合いが変わり鼻声となります。
■仕組み
鼻は外鼻、鼻腔、副鼻腔の3つに分けられます。
▪外鼻 鼻の外側の部分です。上半分は骨によって、下半分は軟骨よって支えられてい ます。
▪鼻腔 鼻孔と咽頭(のど)をつなぐ2本の空洞です。いり口は狭いですが、内部は広くなっています。鼻のまん中辺りに仕切りがあり、左右に分かれていて、それぞれ3つのヒダ状の突起があります。ヒダの間には副鼻腔につながる穴が開いています。
▪副鼻腔 鼻腔の周りや頭の中にある空洞で、鼻腔とつながっています。副鼻腔は4種類あり、1対ずつ左右それぞれにあります。
鼻についての文化
漢字で「鼻」の意味を表す象形文字は「自」でしたが、この語がやがて「はじまり」を意味するようになったため、「鼻」の字が当てられたといわれています。自の字がやがて「おのれ」を指すようになりましたが、現代の日本で自分を指すジェスチャーとして自分の鼻をさす行為は、この影響と見られています。また、中国においても鼻が人を形つくるはじまりのものとして考えていたようです。
“はな”という和語は“はじまり”“先頭”なども意味し、「出鼻をくじく」「はなから分かっている」などと形容することがあります。下駄の鼻緒も、鼻の形ではなく、先頭の意味からきています。
鼻をかむと鼻の下がヒリヒリするのはなぜ?
風邪をひいた時、鼻をかみ続けると鼻の下がヒリヒリすることありませんか?あれはティッシュによる摩擦のせいではないのです。風邪のときに、ドロッとした黄色の鼻汁が混じりますが、これは細菌と戦って死んだ白血球の死骸です。この死骸の中に細菌を殺すための蛋白質分解酵素が残っていると、鼻の入口の皮膚の蛋白質を溶かしてしまい、ヒリヒリが起こるのです。鼻をかんだ後に、保湿クリームを塗っておくと皮膚の荒れを予防できます。
鼻の病気
●アレルギー性鼻炎
アレルギー反応とは、抗原と抗体が結合し、ヒスタミンなどの化学物質が鼻の粘膜を刺激することを言います。抗原となる原因物質は、スギやヒノキなどの花粉、カビ、ダニ動物の毛などがあります。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、ひどいときには目の充血と痒みを伴います。
●副鼻腔炎(蓄膿症)
文字通り副鼻腔が炎症を起こすもので、急性のものと慢性のものがあります。炎症は上顎洞と篩滑洞が侵されておこることが多いです。膿が副鼻腔に溜まることから蓄膿症とも言われますが、溜まらない症例もあることから次第にこの名は使われなくなりつつあります。
●鼻血
鼻血の大部分は、鼻中隔の前方にあるキーゼルバッハ部位という皮膚と粘膜の間の部分からの出血です。血管が豊富にある上に粘膜が薄く、傷つきやすくなっているためです。鼻腔の腫瘍の他、心臓、肝臓の病気や高血圧、白血病の症状として鼻血が出る場合もあります。
●鼻炎
鼻腔の粘膜に炎症を伴うものを鼻炎といいます。急性のものは風邪に伴うものが多く、鼻づまり、鼻汁、くしゃみといった症状が一般的です。急性鼻炎を繰り返したり、長引くと慢性鼻炎を引き起こすことがあります。
●鼻の腫瘍
鼻の腫瘍には様々なタイプがありますが、多くは上顎洞にできるガンです。発症例はごく稀で、他の組織へ転移する危険性もあまりありません。初期発見が難しく、進行すると片側の鼻づまり、鼻汁、頭痛がおこり、さらに進むと頬が腫れ、眼球が飛び出るなどの症状があらわれます。
●鼻のおでき
鼻の皮膚に傷がつき、そこに菌が感染しておこります。丹毒や敗血症などをひき起こすことがあるため、早めに医師による手当を受ける必要があります。無理に膿をとることは避けてください。
●鼻茸
鼻茸とは鼻ポリープが鼻粘膜にできることを言います。主に慢性副鼻腔炎が原因でおこり、鼻づまりはもちろんのこと、嗅覚がにぶってきます。手術によって除去できますが、その前に原因である慢性副鼻腔炎を治す必要があります。
●鼻中隔湾曲症
鼻中隔はいくつかの軟骨が組み合わさり、粘膜に覆われていますが、大抵の大人の鼻は多少湾曲しています。しかし、あまりに湾曲が強いと空気の通りが悪くなり、口呼吸をして喉を乾燥させてしまったり、集中力や睡眠の質の低下をひきおこすため、手術をして真っ直ぐにします。
■口呼吸の人が増えているわけ■
ほとんどの人が「私は鼻で呼吸をしている。」と思っているかもしれませんが、実際は日本人の半数以上が口呼吸をし、小学生にいたっては8割が口呼吸をしている状況なのだそうです。
口呼吸をすると、空気をろ過せず直接流入するのでのどが乾燥し、風邪をひきやすくなります。また鼻を使わないので鼻腔が汚れ鼻の機能が衰え、いびきもうるさくなります。
人間にのみ口呼吸があるのは喋るためだといわれています。その為に、喋る時でも口で呼吸することを覚えてしまうのだそうです。
口呼吸を防ぐには、食事の際1口30回両側で噛む。1日1時間ほどガムを噛み、顎や口を鍛える、おしゃぶりをくわえる(恥ずかしいかもしれませんが、成人にも有効です)、鼻腔拡大装置を鼻にはめるなどが有効です。
動物の鼻
人間以外の動物の鼻にはいったいどのような特徴があるでしょうか?
脊椎動物の祖先といわれているナメクジウオには、嗅かという原始的な鼻が背部にあります。魚の鼻は口腔とはつながっていません。これはエラ呼吸の仕組みが関係しているようです。入水口と出水口が左右に一対ずつ計4個の穴があり、その穴に水が通過することで臭いを感じ取ります。両生類以上の動物の鼻腔は口腔へと開口しており、ヤコブソン器官という別の嗅覚を持つものが多く存在します。位置は鼻腔内や口蓋など生物群により異なり、脳への伝達は鼻腔とは違う神経回路を伝っていくようです。
鼻の仕組み・役割
■役割
鼻が呼吸や臭いをかぎ分けるための器官であることは言うまでもありませんが、その他にも空気のろ過装置・加湿器としての役割も担っています。鼻毛や鼻腔の粘膜により空気中のゴミや細菌をとり、鼻腔を流れる血液により加温・加湿します。鼻腔の上部に嗅覚があり、そこから脳へ伝達され、臭いとして認識されます。また、鼻腔と副鼻腔は声を共鳴させる役割もあるため、鼻腔粘膜が腫れると共鳴の度合いが変わり鼻声となります。
■仕組み
鼻は外鼻、鼻腔、副鼻腔の3つに分けられます。
▪外鼻 鼻の外側の部分です。上半分は骨によって、下半分は軟骨よって支えられてい ます。
▪鼻腔 鼻孔と咽頭(のど)をつなぐ2本の空洞です。いり口は狭いですが、内部は広くなっています。鼻のまん中辺りに仕切りがあり、左右に分かれていて、それぞれ3つのヒダ状の突起があります。ヒダの間には副鼻腔につながる穴が開いています。
▪副鼻腔 鼻腔の周りや頭の中にある空洞で、鼻腔とつながっています。副鼻腔は4種類あり、1対ずつ左右それぞれにあります。
鼻についての文化
漢字で「鼻」の意味を表す象形文字は「自」でしたが、この語がやがて「はじまり」を意味するようになったため、「鼻」の字が当てられたといわれています。自の字がやがて「おのれ」を指すようになりましたが、現代の日本で自分を指すジェスチャーとして自分の鼻をさす行為は、この影響と見られています。また、中国においても鼻が人を形つくるはじまりのものとして考えていたようです。
“はな”という和語は“はじまり”“先頭”なども意味し、「出鼻をくじく」「はなから分かっている」などと形容することがあります。下駄の鼻緒も、鼻の形ではなく、先頭の意味からきています。
鼻をかむと鼻の下がヒリヒリするのはなぜ?
風邪をひいた時、鼻をかみ続けると鼻の下がヒリヒリすることありませんか?あれはティッシュによる摩擦のせいではないのです。風邪のときに、ドロッとした黄色の鼻汁が混じりますが、これは細菌と戦って死んだ白血球の死骸です。この死骸の中に細菌を殺すための蛋白質分解酵素が残っていると、鼻の入口の皮膚の蛋白質を溶かしてしまい、ヒリヒリが起こるのです。鼻をかんだ後に、保湿クリームを塗っておくと皮膚の荒れを予防できます。
鼻の病気
●アレルギー性鼻炎
アレルギー反応とは、抗原と抗体が結合し、ヒスタミンなどの化学物質が鼻の粘膜を刺激することを言います。抗原となる原因物質は、スギやヒノキなどの花粉、カビ、ダニ動物の毛などがあります。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、ひどいときには目の充血と痒みを伴います。
●副鼻腔炎(蓄膿症)
文字通り副鼻腔が炎症を起こすもので、急性のものと慢性のものがあります。炎症は上顎洞と篩滑洞が侵されておこることが多いです。膿が副鼻腔に溜まることから蓄膿症とも言われますが、溜まらない症例もあることから次第にこの名は使われなくなりつつあります。
●鼻血
鼻血の大部分は、鼻中隔の前方にあるキーゼルバッハ部位という皮膚と粘膜の間の部分からの出血です。血管が豊富にある上に粘膜が薄く、傷つきやすくなっているためです。鼻腔の腫瘍の他、心臓、肝臓の病気や高血圧、白血病の症状として鼻血が出る場合もあります。
●鼻炎
鼻腔の粘膜に炎症を伴うものを鼻炎といいます。急性のものは風邪に伴うものが多く、鼻づまり、鼻汁、くしゃみといった症状が一般的です。急性鼻炎を繰り返したり、長引くと慢性鼻炎を引き起こすことがあります。
●鼻の腫瘍
鼻の腫瘍には様々なタイプがありますが、多くは上顎洞にできるガンです。発症例はごく稀で、他の組織へ転移する危険性もあまりありません。初期発見が難しく、進行すると片側の鼻づまり、鼻汁、頭痛がおこり、さらに進むと頬が腫れ、眼球が飛び出るなどの症状があらわれます。
●鼻のおでき
鼻の皮膚に傷がつき、そこに菌が感染しておこります。丹毒や敗血症などをひき起こすことがあるため、早めに医師による手当を受ける必要があります。無理に膿をとることは避けてください。
●鼻茸
鼻茸とは鼻ポリープが鼻粘膜にできることを言います。主に慢性副鼻腔炎が原因でおこり、鼻づまりはもちろんのこと、嗅覚がにぶってきます。手術によって除去できますが、その前に原因である慢性副鼻腔炎を治す必要があります。
●鼻中隔湾曲症
鼻中隔はいくつかの軟骨が組み合わさり、粘膜に覆われていますが、大抵の大人の鼻は多少湾曲しています。しかし、あまりに湾曲が強いと空気の通りが悪くなり、口呼吸をして喉を乾燥させてしまったり、集中力や睡眠の質の低下をひきおこすため、手術をして真っ直ぐにします。
■口呼吸の人が増えているわけ■
ほとんどの人が「私は鼻で呼吸をしている。」と思っているかもしれませんが、実際は日本人の半数以上が口呼吸をし、小学生にいたっては8割が口呼吸をしている状況なのだそうです。
口呼吸をすると、空気をろ過せず直接流入するのでのどが乾燥し、風邪をひきやすくなります。また鼻を使わないので鼻腔が汚れ鼻の機能が衰え、いびきもうるさくなります。
人間にのみ口呼吸があるのは喋るためだといわれています。その為に、喋る時でも口で呼吸することを覚えてしまうのだそうです。
口呼吸を防ぐには、食事の際1口30回両側で噛む。1日1時間ほどガムを噛み、顎や口を鍛える、おしゃぶりをくわえる(恥ずかしいかもしれませんが、成人にも有効です)、鼻腔拡大装置を鼻にはめるなどが有効です。
動物の鼻
人間以外の動物の鼻にはいったいどのような特徴があるでしょうか?
脊椎動物の祖先といわれているナメクジウオには、嗅かという原始的な鼻が背部にあります。魚の鼻は口腔とはつながっていません。これはエラ呼吸の仕組みが関係しているようです。入水口と出水口が左右に一対ずつ計4個の穴があり、その穴に水が通過することで臭いを感じ取ります。両生類以上の動物の鼻腔は口腔へと開口しており、ヤコブソン器官という別の嗅覚を持つものが多く存在します。位置は鼻腔内や口蓋など生物群により異なり、脳への伝達は鼻腔とは違う神経回路を伝っていくようです。
by wph-sigino
| 2012-03-16 15:47
| 眼・鼻・口