2012年 10月 24日
活性酸素 |
テレビや雑誌などでしばしば取り上げられる「活性酸素」ですが、いったいどのようなものかご存知でしょうか。「酸素」は、生きていくためには欠かせないものですが、体内に入った酸素のうち数%が、活性酸素となって体を蝕むのだそうです。この活性酸素は、老化だけでなく白内障や痴呆症、がんなど、あらゆる病気のもとといわれています。
活性酸素って何?
ここ数年、病気や老化を進める一因として挙げられ、悪者のイメージを持っている人も多くいるのではないかと思います。活性酸素とは、簡単に言うと、「不安定な酸素」の事です。
少し専門的な話になりますが、通常の酸素は原子核と電子からなっていて、電子は2個でペアを組み、安定した状態を保っています。ところが何らかの形でアンバランスな電子配置になってしまうと、何とか自分を安定させようと他の分子を結合し、電子を奪おうとします。この化学反応が「酸化」といわれるもので、鉄が酸素分子と結合してサビができるのと同じ理屈です。
活性酸素は生命維持のためにはなくてはならないもので、細胞中のミトコンドリアで酸素は糖質から電子を奪い、スーパーオキサイド→過酸化水素→ヒロドラジカルを経て水になります。この生成中に酸素は何度か活性酸素に変わります。糖質はこの化学変化でエネルギー物質にかわります。体の生命維持のための化学変化の一つとして、活性酸素が発生していると考えればいいと思います。
●白血球が主な発生源
活性酸素は高い反応活性を持つため、異物を排除する武器としても用いられます。ばい菌が入ると、白血球がやって来て退治をします。そして、細菌を飲み込んだ後は自分も活性酸素を出しながら死んでいきます。ところがこの働きをする白血球は1~2日の寿命で、寿命を終えるときも活性酸素を放出して死んでしまいます。話によると、体内に発生する活性酸素の7割が、白血球の死滅の際に出る活性酸素だといわれています。また他に、紫外線や放射線を浴びると体内で活性酸素を作る事も知られています。
●活性酸素を分解する機能
体内にたまる活性酸素ですが、たまり続けると大変な事になってしまうので、各組織には抗酸化酵素というものが存在します。これは主にSOD、カタラーゼ、ビタミンC、ビタミンA、ポリフェノールなどで、絶えず活性酸素を分解し、拮抗状態となっています。
活性酸素による健康の害
体の細胞の一つ一つは、細胞膜に覆われています。細胞膜の主要な材料が不飽和脂肪酸で、元来が酸化されやすい性質を持っているため、活性酸素の攻撃を受けるとごく簡単に酸化し、過酸化脂質に変化してしまいます。過酸化脂質自身も他の物質から電子を奪おうとするため次々と酸化の連鎖が起こってしまいます。こうした細胞組織の酸化が積み重なり、さまざまな病気の原因を作ってゆきます。
この症状が血管に現れた場合、動脈硬化や、過酸化脂質により血管が詰まる事で心筋梗塞や脳梗塞の危険を高めます。皮膚で起これば、まずは皮膚の色が活性酸素焼けで黒くなり、しみができたりします。これが進めばシワができ、老化の原因になります。この他、糖尿病や白内障、老人痴呆などの疾患の原因になるという報告もあります。また、がんの引き金であるとも言われています。損傷が遺伝子に及び、がん源遺伝子、がん抑制遺伝子に及ぶと正常な細胞が、がん細胞へと変わり体にがん細胞をやっつける体力がないと、がんがどんどん進行していく事になります。
活性酸素が増える原因
●主な原因は白血球(顆粒球)の過剰な増加
私たちの体には、免疫や異物の除去を担う白血球という血液の細胞があります。白血球はマクロファージ、顆粒球、リンパ球で構成されています。マクロファージは、進化の過程で最初にできた細胞で、主に異物の処理の際に処理方法を指令する役割を担っています。また、異物処理後の残骸処理もします。
顆粒球は、マクロファージ以上に異物処理機能が高まったもので、細菌など大きな微生物を貪食します。分解酵素と活性酸素によって処理するため、先述の通り死後に活性酸素を放出します。顆粒球が過剰になると活性酸素の無毒化処理が追いつかず、組織破壊が進みます。がんや胃潰瘍、糖尿病などの病気をひき起こす原因はこれであるといわれています。
リンパ球は細菌よりもウィルスなど小さな生物や腫瘍細胞を抗体で処理する細胞で、免疫やアレルギー炎症に対しても対応、治療に貢献します。抗がん作用があることでも一般に知られていると思います。しかしリンパ球が過剰になると、無害な異物をも有害と認識してしまうので、花粉症などのアレルギー症状を起こしてしまいます。
顆粒球が悪いように思われがちですが、リンパ球が増えても問題になります。活性酸素の対策のためには、白血球のバランスを保つ事が大事ですが、そのバランスを左右するのが自律神経です。
●白血球(顆粒球)が増えるのはストレスが原因
人間には2つの自律神経があり、体を活発に動かす時に働く交感神経と、休んだり眠くなるときに働く副交感神経があります。これらの働きに、白血球が密接にかかわっている事が最近の研究で判明しました。ストレスを抱えているときは興奮状態で、交感神経が優位になっていますが、その際、顆粒球も増加するのだそうです。(逆にリラックス時はリンパ球が増えます)。ストレスによって顆粒球が過剰に増え、結果的に活性酸素が大量に生み出されてしまいます。
活性酸素とうまく付き合う方法
●ストレスをためず、心をおおらかに保つ事
病気になりやすいかどうかは、私たちの心理状態が大きく影響しています。ストレスの他に、怒りっぽい人、いつも感情を抑えている人、不安感を持っている人は交感神経の働きで緊張状態にあり、高血圧や高血糖、さらには活性酸素の増加でさまざまな病気の原因になります。
ですから、気持ちをゆったりとおおらかに保つ事が活性酸素の増加抑制になり、健康にも良いのです。
●夜はきっちり睡眠を取る
人間は昼に活動し、夜は休むようにできていて、夜熟睡すると成長ホルモンが分泌され、体の疲れが取れて肌にハリと艶が出て瑞々しくなります。逆に睡眠時間を削って活動していると、興奮状態が続き、白血球が増え健康を害します。夜はきっちり熟睡できるようにしましょう。
●野菜やフルーツをしっかり食べる
ほうれん草や人参など緑黄色野菜、フルーツ、大豆、ゴマ等植物性のものには抗酸化物質が含まれています。これらを栄養バランスよく摂取しましょう。
●禁煙をする
たばこの煙には活性酸素そのものが含まれているため喫煙は自ら活性酸素を取り込んでいるようなものです。肺に沈着したときも、免疫システムが働き、肺の組織を壊してしまいます。
活性酸素って何?
ここ数年、病気や老化を進める一因として挙げられ、悪者のイメージを持っている人も多くいるのではないかと思います。活性酸素とは、簡単に言うと、「不安定な酸素」の事です。
少し専門的な話になりますが、通常の酸素は原子核と電子からなっていて、電子は2個でペアを組み、安定した状態を保っています。ところが何らかの形でアンバランスな電子配置になってしまうと、何とか自分を安定させようと他の分子を結合し、電子を奪おうとします。この化学反応が「酸化」といわれるもので、鉄が酸素分子と結合してサビができるのと同じ理屈です。
活性酸素は生命維持のためにはなくてはならないもので、細胞中のミトコンドリアで酸素は糖質から電子を奪い、スーパーオキサイド→過酸化水素→ヒロドラジカルを経て水になります。この生成中に酸素は何度か活性酸素に変わります。糖質はこの化学変化でエネルギー物質にかわります。体の生命維持のための化学変化の一つとして、活性酸素が発生していると考えればいいと思います。
●白血球が主な発生源
活性酸素は高い反応活性を持つため、異物を排除する武器としても用いられます。ばい菌が入ると、白血球がやって来て退治をします。そして、細菌を飲み込んだ後は自分も活性酸素を出しながら死んでいきます。ところがこの働きをする白血球は1~2日の寿命で、寿命を終えるときも活性酸素を放出して死んでしまいます。話によると、体内に発生する活性酸素の7割が、白血球の死滅の際に出る活性酸素だといわれています。また他に、紫外線や放射線を浴びると体内で活性酸素を作る事も知られています。
●活性酸素を分解する機能
体内にたまる活性酸素ですが、たまり続けると大変な事になってしまうので、各組織には抗酸化酵素というものが存在します。これは主にSOD、カタラーゼ、ビタミンC、ビタミンA、ポリフェノールなどで、絶えず活性酸素を分解し、拮抗状態となっています。
活性酸素による健康の害
体の細胞の一つ一つは、細胞膜に覆われています。細胞膜の主要な材料が不飽和脂肪酸で、元来が酸化されやすい性質を持っているため、活性酸素の攻撃を受けるとごく簡単に酸化し、過酸化脂質に変化してしまいます。過酸化脂質自身も他の物質から電子を奪おうとするため次々と酸化の連鎖が起こってしまいます。こうした細胞組織の酸化が積み重なり、さまざまな病気の原因を作ってゆきます。
この症状が血管に現れた場合、動脈硬化や、過酸化脂質により血管が詰まる事で心筋梗塞や脳梗塞の危険を高めます。皮膚で起これば、まずは皮膚の色が活性酸素焼けで黒くなり、しみができたりします。これが進めばシワができ、老化の原因になります。この他、糖尿病や白内障、老人痴呆などの疾患の原因になるという報告もあります。また、がんの引き金であるとも言われています。損傷が遺伝子に及び、がん源遺伝子、がん抑制遺伝子に及ぶと正常な細胞が、がん細胞へと変わり体にがん細胞をやっつける体力がないと、がんがどんどん進行していく事になります。
活性酸素が増える原因
●主な原因は白血球(顆粒球)の過剰な増加
私たちの体には、免疫や異物の除去を担う白血球という血液の細胞があります。白血球はマクロファージ、顆粒球、リンパ球で構成されています。マクロファージは、進化の過程で最初にできた細胞で、主に異物の処理の際に処理方法を指令する役割を担っています。また、異物処理後の残骸処理もします。
顆粒球は、マクロファージ以上に異物処理機能が高まったもので、細菌など大きな微生物を貪食します。分解酵素と活性酸素によって処理するため、先述の通り死後に活性酸素を放出します。顆粒球が過剰になると活性酸素の無毒化処理が追いつかず、組織破壊が進みます。がんや胃潰瘍、糖尿病などの病気をひき起こす原因はこれであるといわれています。
リンパ球は細菌よりもウィルスなど小さな生物や腫瘍細胞を抗体で処理する細胞で、免疫やアレルギー炎症に対しても対応、治療に貢献します。抗がん作用があることでも一般に知られていると思います。しかしリンパ球が過剰になると、無害な異物をも有害と認識してしまうので、花粉症などのアレルギー症状を起こしてしまいます。
顆粒球が悪いように思われがちですが、リンパ球が増えても問題になります。活性酸素の対策のためには、白血球のバランスを保つ事が大事ですが、そのバランスを左右するのが自律神経です。
●白血球(顆粒球)が増えるのはストレスが原因
人間には2つの自律神経があり、体を活発に動かす時に働く交感神経と、休んだり眠くなるときに働く副交感神経があります。これらの働きに、白血球が密接にかかわっている事が最近の研究で判明しました。ストレスを抱えているときは興奮状態で、交感神経が優位になっていますが、その際、顆粒球も増加するのだそうです。(逆にリラックス時はリンパ球が増えます)。ストレスによって顆粒球が過剰に増え、結果的に活性酸素が大量に生み出されてしまいます。
活性酸素とうまく付き合う方法
●ストレスをためず、心をおおらかに保つ事
病気になりやすいかどうかは、私たちの心理状態が大きく影響しています。ストレスの他に、怒りっぽい人、いつも感情を抑えている人、不安感を持っている人は交感神経の働きで緊張状態にあり、高血圧や高血糖、さらには活性酸素の増加でさまざまな病気の原因になります。
ですから、気持ちをゆったりとおおらかに保つ事が活性酸素の増加抑制になり、健康にも良いのです。
●夜はきっちり睡眠を取る
人間は昼に活動し、夜は休むようにできていて、夜熟睡すると成長ホルモンが分泌され、体の疲れが取れて肌にハリと艶が出て瑞々しくなります。逆に睡眠時間を削って活動していると、興奮状態が続き、白血球が増え健康を害します。夜はきっちり熟睡できるようにしましょう。
●野菜やフルーツをしっかり食べる
ほうれん草や人参など緑黄色野菜、フルーツ、大豆、ゴマ等植物性のものには抗酸化物質が含まれています。これらを栄養バランスよく摂取しましょう。
●禁煙をする
たばこの煙には活性酸素そのものが含まれているため喫煙は自ら活性酸素を取り込んでいるようなものです。肺に沈着したときも、免疫システムが働き、肺の組織を壊してしまいます。
by wph-sigino
| 2012-10-24 15:41
| 健康