2012年 11月 21日
高齢者と薬(薬の副作用に注意しよう) |
高齢者の約8割は、種々の慢性疾患を持っているといわれています。市販薬も含め、多種類の薬を服用しているケースも少なくありません。体力や合併症の有無などで薬の作用に個人差があるのも高齢者の特徴です。高齢者は、薬による副作用とともに、とくに相互作用にも注意が必要です。
薬の副作用の半分以上は高齢者によるケース
高齢者は、一般成人よりも薬による副作用が起こりやすいといわれています。主な原因は次のとおりです。
①体内で薬を分解・代謝する肝臓や腎臓の機能が低下している。
②種々の慢性疾患や合併症などにより常用する薬が多い。
加齢によって内蔵機能が低下し、薬の代謝が滞ると、薬が体内に長時間留まります。すると、薬の作用が強く現れることがあります。また、これまでに感じたことのないアレルギー症状やショック症状、高齢者に良く見られる症状(便秘や排尿困難など)の増悪など、様々な副作用があらわれることがあります。
薬を飲んでから1~2時間は、体の変化に十分注意しましょう。
◎よくある薬の副作用◎
解熱鎮痛剤・・・体温低下、手足の冷え、アレルギー反応による発疹、発赤など。
抗生物質・・・・ショック症状によるけいれん、めまい、聴力障害など。
血圧降下剤・・・起立性低血圧、急性心不全、たちくらみ、めまい
複数の薬を飲む場合は薬の相互作用をチェック
また、基礎疾患や合併症により、日頃からのんでいても、さらに風邪や発熱、咳などにより、他の処方薬や市販薬をのむ場面もあるでしょう。この場合、飲み合わせを確認しておかないと、同じ成分が重複して作用が強く現れたり、いろいろな薬が互いに影響して、本来の作用が変化してしまうことがあります。これを薬の相互作用といいます。
例えば、糖尿病薬と解熱鎮痛剤を飲んで血糖値が下がり過ぎたり、心臓病の薬と総合感冒薬を飲み、鎮咳の成分と作用しあって動悸が現れることがあります。常用している薬があり、処方薬、市販薬を問わず新たに薬を飲む際には、医師や薬剤師に伝えましょう。飲んでいる薬を記録できる「お薬手帳」を活用すると良いでしょう。
また、薬と飲食物の相互作用もあります。アルコールや牛乳、グレープフルーツなどと薬を服用する場合には、添付文書をよく確認しましょう。
◎注意する薬の成分◎
■総合感冒薬や咳止めに配合されている「ジヒドロコデインリン酸塩」。服用後、腸のぜん動運動が低下し、便秘になりやすい。
■鼻水・鼻づまりを抑制する薬、かぜ薬に配合されている「抗ヒスタミン薬」。服用後、口の渇きや眠気が起こる。また、男性高齢者の約7~8割が患っている前立腺肥大を伴う場合には、尿が出にくくなる。
◎高齢者がとくに気をつけたい薬と飲食物の相互作用◎
■アルコール
アルコールも薬と同様肝臓で分解されるので、薬の代謝を阻害する。また、アルコールは血管を拡張させるので、薬が急速に体を巡り、薬の作用を増強する。
解熱鎮痛剤・・・胃粘膜への刺激を助長する。また、効き過ぎて、ふらついたりする。
睡眠薬・・・・・中枢神経の抑制をさらに増強させる。注意力の低下、ふらつき、昏睡を招く事がある。
胃薬(H2ブロッカー)・・アルコール血中濃度を上げ、悪酔いを招く。
■牛乳
骨粗しょう症の薬は牛乳と一緒に飲むと、牛乳に含まれるカルシウムやマグネシウムと薬の成分が結合する。最低2時間は間をあける。ミネラルウォーターも同様。
■硬水(ミネラルウオーター)
硬水に含まれる高濃度のミネラル、カルシウム分と薬の成分が結合し、薬の吸収を阻害することもあるので、薬は軟水で飲んだほうがよい。
■グレープフルーツ
高血圧や狭心症の治療に使われるカルシウム拮抗剤と一緒に摂取すると、グレープフルーツの成分が薬物代謝酵素の働きを阻害。血圧を過剰に下げ、頭痛やめまいを起こす事がある。
周囲の人の協力が大切。上手な薬の飲み方・飲ませ方
高齢者になると、薬を飲み込む力も弱くなります。寝たままで薬を飲むと、食道につかえたり、気管に入って誤嚥(ごえん)性肺炎になる危険性があるので、できる限り体を起き上がらせてから飲ませるようにします。薬を詰まらせてしまうと、詰まった部分に潰瘍ができることも。一口水を含んでから、たっぷりの水で飲ませることを心がけましょう。
また、薬を飲んだかどうか分からなくなったり、誤飲を防ぐためには、近くにいる人が見守ってあげる配慮が必要です。
お薬ケーススタディ
●高齢者の薬によるトラブル防止5か条
①薬を服用している間、アルコール、刺激物、カフェインの多い飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶)、たばこの摂取は医師・薬剤師に相談する。
②服用中に体調の変化が現れたら、処方した医師や調剤した薬局に早めに相談する。
③病院で薬を処方されるときは、今飲んでいる処方薬や市販薬を申し出る。薬の現物を持参すると良い。
④一度副作用が現れたら、医薬品名、成分を確かめ、副作用の症状を記録しておく。
⑤誤飲やのみ忘れを防ぐため1回分の服用量と服用時間を薬袋に大きく書いたり、目のつくところにチェック表を貼るなどの工夫をする。
●お薬手帳の活用
使用した薬を記録できる手帳です。重複処方や相互作用の防止に役立ちます。薬を調剤される時に薬剤師に出すと内容を書き込んでくれる。複数の薬を飲むことが多い高齢者はとくに履歴を残しておくと安心。複数の医師にかかる時にも持参すると便利。
薬の副作用の半分以上は高齢者によるケース
高齢者は、一般成人よりも薬による副作用が起こりやすいといわれています。主な原因は次のとおりです。
①体内で薬を分解・代謝する肝臓や腎臓の機能が低下している。
②種々の慢性疾患や合併症などにより常用する薬が多い。
加齢によって内蔵機能が低下し、薬の代謝が滞ると、薬が体内に長時間留まります。すると、薬の作用が強く現れることがあります。また、これまでに感じたことのないアレルギー症状やショック症状、高齢者に良く見られる症状(便秘や排尿困難など)の増悪など、様々な副作用があらわれることがあります。
薬を飲んでから1~2時間は、体の変化に十分注意しましょう。
◎よくある薬の副作用◎
解熱鎮痛剤・・・体温低下、手足の冷え、アレルギー反応による発疹、発赤など。
抗生物質・・・・ショック症状によるけいれん、めまい、聴力障害など。
血圧降下剤・・・起立性低血圧、急性心不全、たちくらみ、めまい
複数の薬を飲む場合は薬の相互作用をチェック
また、基礎疾患や合併症により、日頃からのんでいても、さらに風邪や発熱、咳などにより、他の処方薬や市販薬をのむ場面もあるでしょう。この場合、飲み合わせを確認しておかないと、同じ成分が重複して作用が強く現れたり、いろいろな薬が互いに影響して、本来の作用が変化してしまうことがあります。これを薬の相互作用といいます。
例えば、糖尿病薬と解熱鎮痛剤を飲んで血糖値が下がり過ぎたり、心臓病の薬と総合感冒薬を飲み、鎮咳の成分と作用しあって動悸が現れることがあります。常用している薬があり、処方薬、市販薬を問わず新たに薬を飲む際には、医師や薬剤師に伝えましょう。飲んでいる薬を記録できる「お薬手帳」を活用すると良いでしょう。
また、薬と飲食物の相互作用もあります。アルコールや牛乳、グレープフルーツなどと薬を服用する場合には、添付文書をよく確認しましょう。
◎注意する薬の成分◎
■総合感冒薬や咳止めに配合されている「ジヒドロコデインリン酸塩」。服用後、腸のぜん動運動が低下し、便秘になりやすい。
■鼻水・鼻づまりを抑制する薬、かぜ薬に配合されている「抗ヒスタミン薬」。服用後、口の渇きや眠気が起こる。また、男性高齢者の約7~8割が患っている前立腺肥大を伴う場合には、尿が出にくくなる。
◎高齢者がとくに気をつけたい薬と飲食物の相互作用◎
■アルコール
アルコールも薬と同様肝臓で分解されるので、薬の代謝を阻害する。また、アルコールは血管を拡張させるので、薬が急速に体を巡り、薬の作用を増強する。
解熱鎮痛剤・・・胃粘膜への刺激を助長する。また、効き過ぎて、ふらついたりする。
睡眠薬・・・・・中枢神経の抑制をさらに増強させる。注意力の低下、ふらつき、昏睡を招く事がある。
胃薬(H2ブロッカー)・・アルコール血中濃度を上げ、悪酔いを招く。
■牛乳
骨粗しょう症の薬は牛乳と一緒に飲むと、牛乳に含まれるカルシウムやマグネシウムと薬の成分が結合する。最低2時間は間をあける。ミネラルウォーターも同様。
■硬水(ミネラルウオーター)
硬水に含まれる高濃度のミネラル、カルシウム分と薬の成分が結合し、薬の吸収を阻害することもあるので、薬は軟水で飲んだほうがよい。
■グレープフルーツ
高血圧や狭心症の治療に使われるカルシウム拮抗剤と一緒に摂取すると、グレープフルーツの成分が薬物代謝酵素の働きを阻害。血圧を過剰に下げ、頭痛やめまいを起こす事がある。
周囲の人の協力が大切。上手な薬の飲み方・飲ませ方
高齢者になると、薬を飲み込む力も弱くなります。寝たままで薬を飲むと、食道につかえたり、気管に入って誤嚥(ごえん)性肺炎になる危険性があるので、できる限り体を起き上がらせてから飲ませるようにします。薬を詰まらせてしまうと、詰まった部分に潰瘍ができることも。一口水を含んでから、たっぷりの水で飲ませることを心がけましょう。
また、薬を飲んだかどうか分からなくなったり、誤飲を防ぐためには、近くにいる人が見守ってあげる配慮が必要です。
お薬ケーススタディ
●高齢者の薬によるトラブル防止5か条
①薬を服用している間、アルコール、刺激物、カフェインの多い飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶)、たばこの摂取は医師・薬剤師に相談する。
②服用中に体調の変化が現れたら、処方した医師や調剤した薬局に早めに相談する。
③病院で薬を処方されるときは、今飲んでいる処方薬や市販薬を申し出る。薬の現物を持参すると良い。
④一度副作用が現れたら、医薬品名、成分を確かめ、副作用の症状を記録しておく。
⑤誤飲やのみ忘れを防ぐため1回分の服用量と服用時間を薬袋に大きく書いたり、目のつくところにチェック表を貼るなどの工夫をする。
●お薬手帳の活用
使用した薬を記録できる手帳です。重複処方や相互作用の防止に役立ちます。薬を調剤される時に薬剤師に出すと内容を書き込んでくれる。複数の薬を飲むことが多い高齢者はとくに履歴を残しておくと安心。複数の医師にかかる時にも持参すると便利。
by wph-sigino
| 2012-11-21 11:36
| 健康